勝手に昔話~したきりすずめのお兄ちゃん~

雑記(過去ブログ)

第一部:チュン太とおチュン

雀のお宿には、チュン太とおチュンという2羽の雀が住んでいました。

ある日、おチュンが散歩に出かけた際、木の枝で羽を傷つけ倒れていました。そこへ通りかかったお爺さんがおチュンを見つけ、優しく家に招き入れました。

しかし、そこでおばあさんの執拗ないじめに遭い、おチュンの舌は残酷にも切り取られてしまったのです。この悲劇が、舌切り雀という名前の由来となりました。

おチュンは、痛みと悲しみの中、雀のお宿に戻ってきました。彼女の姿を見た兄のチュン太は、怒りに震えました。自分の弟妹がこんな目に遭うなんて許せないと、チュン太の心に復讐の火が燃え上がりました。

「おチュン、お前の仇を討ってみせる!」とチュン太は心に誓いました。彼はお爺さんの優しさに感謝しながらも、おばあさんに対する怒りと復讐心が彼を駆り立てました。

チュン太は、おばあさんに報復するための計画を練り始めました。兄としての責任を果たすため、彼は旅立つ覚悟を決めました。おばあさんを許すことはできないという決意が、彼の心を支配しました。

第二部: 優しさへの気づき

チュン太は、復讐心に燃えながらも、お爺さんの家に滞在し始めました。彼はお爺さんと過ごす中で、その優しさに触れる機会を得ました。お爺さんは、いつも穏やかで思いやりのある言葉をかけ、おチュンにも優しく接していました。

お爺さんの優しさに触れるにつれ、チュン太の心には少しずつ変化が生じていきました。復讐心と怒りに支配されていた彼の心が、少しずつ穏やかな方向に向かっていったのです。

そしてある日、チュン太はお爺さんがおばあさんと接する様子を目撃しました。お爺さんはいつもおばあさんに対して、こき使われているのにも関わらず優しく、思いやりを持って接していました。彼の優しさが、おばあさんの心と腰を動かし、彼女の態度も少しずつ変わっていくのをチュン太は目撃しました。

この出来事を通じて、チュン太は重要な気づきを得ました。優しさと思いやりの力は、時には最も厳しい心をも和らげ、変えることができるのだということを。そして、復讐心だけでは解決できない問題も、優しさと理解が解決への鍵を握っていることを理解しました。

第三部: 善の勝利

チュン太はお爺さんの優しさに触れ、心に変化が起こりました。彼は復讐心を抑え、おばあさんとの対立を解決するために新たな方法を模索し始めました。

ある日、チュン太はおばあさんと話し合う機会を設けました。彼はおばあさんに、過去の出来事やおチュンが受けた苦しみについて語りました。そして、お爺さんの優しさや思いやりの大切さについても話しました。

おばあさんは最初は抵抗しましたが、チュン太の言葉やお爺さんの優しさに心を打たれました。彼女は自分の行動が間違っていたことを認め、おチュンに対する過ちを謝罪しました。

そして、チュン太とおばあさんは、お爺さんのもとで和解の儀式を行いました。両手を広げ、「チュンチュンチュン。あ、チュンチュン。」と舞をお互いに踊ったのです。お爺さんの見届けのもと、彼らは過去の出来事を水に流し、新たな友情と協力の道を歩むことを誓いました。

その後、おばあさんはおチュンに対しても優しく接し、彼女の舌を切ったことを後悔しました。お爺さんとの和解を通じて、彼女の心も変わっていったのです。

そして、雀のお宿では再び笑顔が溢れ、和やかな雰囲気が戻りました。チュン太は兄としての責任を果たし、おばあさんとの対立を解決することができたことに喜びを感じました。

結局、善良な心と優しさが勝利し、家族の絆がより深まったのでした。

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