勝手に昔話をつくりました。
お目汚しにご覧ください( ´艸`)
しり太郎
昔々。
ある村に、太郎という少年がいました。
太郎は村一番のなまけもので、今日も家のえんがわで昼寝をしておりました。
「ふぁーー。今日も平和だべー。何んか変わったことでも起きんべかやぁー」
その時です。
空から
ヒューーーーーーッッッ
スッコーーーーーーーーーン!!!
太郎の頭に、石のように固くて四角い何かが落ちてきました。
「あってーーー!! なんだーーー⁉ ちっと血ぃが出てんべ。
おっかぁーーー!! あっ、いねーか。」
太郎が頭をさすりながら落ちてきたものを眺めますが、今まで見たこともないもので、
それが何なのか全然わかりませんでした。
「しかたねぇー。村長に聞くべ。」
太郎は、村の村長に落ちてきた物を見せに行きました。
「いんやぁーー。見た事ねえべな。」
「そっかぁ。ほかに分かるやつはおらんべな。ものしりは。」
その時です。
ピピッ・・・「はい。何か御用ですか?」
突然声が聞こえてきたのです。
「なんだ⁉おまえは誰だ⁉」
ピピッ・・・「しりともうします。私の事はさておき・・・何かお手伝いできることが
あればお知らせくださいね。」
「ほほう。そいつは喋るのか。しりってなまえも面白い。何だか分らんが、太郎。それはお前が大事にもっておきなさい。」
村長に言われるがまま、太郎はトボトボと家に帰って行きました。
その道すがら。
「えーん!おっとぉーー!」
「どうしただ?迷子か?お前、なまえは?」
「ちぃこ。」
「ははぁ。ごんぞーの所のちぃこか。困っただな。オラも家の場所は分かんねぇぞ。」
その時です。
ピピッ・・・「ごんぞーさんの家が見つかりました。」
何と、太郎のもっているしりが光り、ごんぞーの家を教えてくれたのです。
しりのいうとおりに進むと、無事たどり着くことが出来ました。
「おっとぉーー!!」
「おぉ、ちぃこか! どこ行ってただ。心配しただぞ。 太郎ありがとよ。助かった。」
「かまわんべ。こいつの。しりのおかげだんべ。」
太郎がこれまでのいきさつを話すと
「これは面白い。よし、今日からおめえは、しり太郎だな。ありがとよ。しり太郎。」
何とも言えないあだ名をつけられてしまいました。
それからというもの、村中はしり太郎の話でもちきりです。
村の人達は何か分からないことがあるたび、しり太郎の所へ行き相談をしました。
「畑の作物が育たないんだがどうしたらいいべか?」
ピピッ・・・「うぇぶで、こちらが見つかりました。」
「新しいクワが欲しいべさ。」
ピピッ・・・「詳しくはマップで。」
「おら、金持ちになりてえだ。」
ピピッ・・・「すみません。よくわかりません。」
しり太郎は皆に頼られ、とても充実した日々を過ごしました。
そして、自分の事に尽くしてくれる「しり」の事を次第に愛していったのです。
「なぁ、しり?」
ピピッ・・・「はい!」
「おめえの事好きになっちまっただ!」
ピピッ・・・「ありがとうございます。太郎さんの事はとてもいい方だと思っていま
す。」
「おめえさえ良ければ、おらと結婚してくれねえだか?」
ピピッ・・・「その言葉は、もっと人間性の高い方のためにとっておいた方がいいと思
いますよ」
「ははっ。いつもそうやって、はぐらかすだな・・・」
ある日、しり太郎は「しり」に何かプレゼントがしたくて、山へ花を摘みに行きました。
その日は「しり」を驚かせるために、懐に入れたまま、話しかけることはしませんでした。
綺麗な夕焼けが見える、その帰り道。
「しり?ちっとみせてぇもんがあるんだ。」
・・・・・
「しり?・・・しりっっ!?」
返事がありません。
なんと、どこかで「しり」を落としてしまったのです。
しり太郎はそれから、何日も何日も「しり」を探しました。
村のみんなも手分けをして探しましたがみつかりません。
しり太郎は悲しく。寂しく。声も枯れはて。皆もかける声がありませんでした。
今日も「しり」探すため、トボトボとあぜ道を歩いていました。
「はぁ・・・しり・・・どこだ・・・」
その時。
ピピッ・・・「ここにいますよ。」
声が聞こえたのです。
しり太郎は、慌てて声のする方へ駆け寄りました。
そこには、「しり」が牛車の轍奥深くで、つぶれていました。
しり太郎は優しく「しり」を拾い上げました。
「しり。寂しかったな。ずっと見つけられなくてごめんな。もう、離さないから。ずっとそばにいてけろ・・・」
ピピッ・・・「私は・・・どこにもいきませんよ。」
その言葉を最後に、「しり」はもう、返事をすることはありませんでした。
それから、しり太郎は毎日頑張って生き、村一番の働き者になりました。
そんなしり太郎に、村の皆も縁談を持ちかける者はいませんでした。
太郎の畑では、一年中綺麗な花が咲いています。
「しり。愛しているよ。」
ピピッ・・・「またまた・・・・ 照れてしまいます・・・」
おしまい。