ひと時の大家族
家に家族が増えました。4番目の子。可愛い女の子です。
これで、家族の数は6人。大家族です。
私と、妻と、長男、長女、次男。そして新しく家族になった次女。
合わせて6人。
これから沢山おでかけして、沢山の写真を撮るんだと思っていました。
しかし、次女、みっちゃんの出産から2週間。
突然の別れがやってきました。
妻が何の前触れもなく天国へ行ってしまったのです。
突然の別れ
持病は持っていませんでした。
突然の胸の痛み。
「くるしい。」と一言いったあと、懸命に、みっちゃんに触れようと手を伸ばしていました。
後から思えば、あの時何で手を重ねてあげられなかったかと、今でも思う時があります。
私は直ぐに救急車を呼びました。
時間では15分程度だと思いますが。私には永遠。永遠の長さに感じました。
サンダルで家の外へ出て、救急車はまだ来ないのか?迷っていないか気をもみ。
家に戻っては妻は無事か?息をしているか?と、声をかけながらうろたえていました。
やっと救急車が来て、妻の状態を伝えると、直ぐにタンカーで救急車に乗せられました。
私も、みっちゃんと一緒に救急車へ乗り込み、病院到着までずっと声をかけ続けました。
妻はよほど苦しかったのか、何度もつけられた酸素マスクを外そうともがいていました。
そして病院に到着直後、
妻の心臓は動くことをやめたみたいです。
絶望の中の延命
処置室で心臓マッサージを2時間続けました。
生きるため?違います。もちろん生きてほしい。
でも、現実は、妻の親族が駆け付けるまで止めてはいけない。そう思ったからです。
皆で最後を。
その間、次女のみっちゃんはお腹かペコペコで、口をチュパチュパとしきりに動かしていました。
看護師さんが白湯を用意してくれ、ゴム手袋に浸して、それをずっとチューチューと吸い続けていました。
最後まで優しく親切にしてくださった看護師さんありがとうございました。
妻の家族が到着すると放心状態が続き、そして、泣き崩れました。
皆揃うと、本当に言いたくなかったですが、
「もう。楽にさせてあげてください。」
私は医師に伝え、心臓マッサージをやめてもらい、綺麗にお着替えをしてもらいました。
「お家へ帰ろう。」
ただいま。そして・・・
大好きな妻と、大好きなお家へ帰りました。
妻を和室へ寝かせると、次にする事は・・・
子ども達のお迎えです。
気が重い。まだ自分でも受け止め切れていないのに。
長女と次男。ひーちゃんと、はっちゃんは、妻の姉が迎えに行ってくれました。
私は長男を学童に迎えに行き、車の中で伝えようか迷った挙句、長男という事もあり、伝えました。
すでにただならない雰囲気は伝わっていました。
「あのね。あーちゃん。聞いてくれる?」
「・・・うん。」
「ママね。ママ・・・天国に行っちゃったんだ。」
「・・・」
「ママ、急に苦しくなって。胸を押さえて。救急車呼んだんだけど。病院行ったんだけど。天国にいっちゃったんだ。」
「・・・」
「あーちゃん。聞いてる?」
「・・・うん。」
家に着き、あーちゃんをママの枕元まで案内しました。
枕元でじっとママを見つめる、あーちゃん。
しばらく放心状態で眺めていました。
そして、
ポタポタと、涙を落としました。
声は出さないで。じっと、ママを見つめ、すすり泣いていました。
暫くすると、長女のひーちゃんと、次男のはっちゃんが帰ってきました。
ひーちゃんはママの顔を見ると不安そうに、
「ママしんじゃったの? ママしんじゃったの!?」
何度も私に尋ね、しまいに「わーーーー!」と大声で泣き崩れました。
その時の言葉が今でも忘れられません。
「かぞく6人になったのに・・・5人になっちゃったーーーー!!」
はっちゃんは
「ママなんでねんねしてるの?。 ねむたいの?」
と、涙は流しませんでしたが、私の膝の上でママを眺めながら、何度も聞いていました。
いつでもママの隣には
夜は妻の隣に布団を敷き、一緒に寝る事になりました。
しかし、ひーちゃんとはっちゃんは「ねたくない。」と言い、2階の寝室で私と泣きながら眠りにつきました。
妻の隣には、あーちゃんが1人で眠りました。
生まれてから、ママの隣はいつもあーちゃんでした。
仲良しカップルのように、いっつもくっついて。
ママの隣で布団をかぶり、夜が更けてくると、すすり泣く声が2階にも届いてきました。
ずっと、ずっと。
夜が明けて1階に降りると、疲れたのか、あーちゃんはママの隣で眠っていました。涙は線になり、跡が残っていました。
最初で最後の家族写真
寝ずの番をしてくれていた妻の親族にお礼を言い、1つのお願いをしました。
「家族写真をとってください。」
産後2週間。家族一緒に過ごした時間。
いつまでも続くと思っていたので、私たちはまだ皆で家族写真を撮っていませんでした。
穏やかな寝顔の妻を囲んで。
涙をこらえ。
めいいっぱいの笑顔で。
震える口をはにかませ。
幸せな。
幸せな家族写真をとりました。
これが最初で最後の家族写真でした。
妻との会話・・・大切な言葉。
別れは本当に突然やってきます。
誰にでも、前触れなく。
最後に妻にかけた言葉。
「お昼マックにする?」
未来はずっと、続いていくと疑わなかった言葉。
今、あの時に戻れるとしたらかけたい言葉。
「さやちゃん。愛してるよ。」
愛を込めて。
コメント